検索図書の詳細
書名 | 日本人は日本をどうみてきたか 江戸から見る自意識の変遷 |
---|---|
著者名 | 田中優子 編 |
書名よみ | ニツポンジン ワ ニツポン オ ドウ ミテキタ カ エド カラ ミル ジイシキ ノ ヘンセン |
著者名よみ | タナカ ユウコ |
出版社 | 笠間書院 |
出版年 | 2015 |
ページ | 247p |
サイズ | 22cm |
請求記号 | 210.5タ |
ISBN | 4305707691 |
受入日 | 2015/09/02 |
openBD 書誌情報・書影を自由に から
私たちはいかなる日本を選んでいるのか。 人々が「日本人」と「日本」を どのように考え、語ってきたかを知ることは 現代を考える「よすが」となる。 近代ナショナリズムへつながる思想も出現した、 江戸時代を中心に、日本人が日本をどう語ってきたのか、 その言説の全体像に迫る! 鍵となるのは中国の「華夷秩序」に影響を受けた 蝦夷・琉球・異国をはじめとする外部への姿勢と、 内部に存在する「和」「武」「神国」という異なる側面の共存であった──。 執筆は、田中優子・大木康・横山泰子・米家志乃布・小林ふみ子・JANA URBANOVÁ・内原英聡・小口雅史・竹内晶子・石上阿希・韓京子・大屋多詠子・金時徳・林久美子・福田安典・長島弘明・津田眞弓・川添裕。 【国家形成は民族対立を乗り越えるためのものであったはずだが、同時に国民としての利権を囲い込もうとする保守的な態度を生み出した。戦争でもないのに隣国とのちょっとした不和が国家主義的な感情をあおり、身近な外国人の存在が一部の人々の不平等感を激高させる。そのもとで外国について、また日本について感想を述べる膨大な書籍は刊行されても、「日本人自身が日本をどう考えてきたか」という問いは、なかなか発せられない。日本という対象、それを表現する日本人、それを分析する日本人、という重層的な関係を設定するには、それぞれの思想と方法が試されるからであろう。本書はその困難な作業の出発点である。】...田中優子「今「日本人が日本をどうみてきたか」を考えることの意義」より
今「日本人が日本をどうみてきたか」を考えることの意義●田中優子 Ⅰ 「自国」を誰が/どの範囲で捉えるか? 「夷」の国の学問――漢学と国学●大木康 華夷思想とは/日本における漢学/日本型漢学者たち/国学/近代の学問 国難と日本意識【コラム】●横山泰子 人びとにとっての近世日本のかたち●米家志乃布 はじめに/江戸時代の刊行日本図について/近世前期における刊行日本図─「流宣日本図」と「自稾庵日本図」/江戸時代における庶民の描いた「日本」の一例─大黒屋光太夫の日本図/節用集所載「日本図」の特徴/おわりに─「行基図」的かたちと「架空の土地」の記述 組み入れられる蝦夷●田中優子 水滸伝構造をめぐって/『本朝水滸伝』に組み入れられる蝦夷/蝦夷の世界へ入り込む日本人/菅江真澄に見る蝦夷と日本人/『もののけ姫』と蝦夷 支えにされた琉球●小林ふみ子 多様な琉球観/日本の文化を尊ぶ国/王子が和歌を詠む国/月代を喜ぶ琉球人 オモロと琉歌における「大和」のイメージ●ヤナ・ウルバノヴァー はじめに/オモロにおける「大和」のイメージ/琉歌における「大和」のイメージ/「大和」のイメージをオモロと琉歌で比較する/おわりに 近世琉球人の他所認識●内原英聡 ――近世八重山の人々から見た琉球王府そして薩摩・大和・日本 「近世琉球人とはだれか?」/近世八重山の人々から見た琉球王府そして薩摩・大和・日本/まとめ─さらなる支配の構造 怪物ではない〈日本の私〉●横山泰子 『和漢三才図会』における日本/異国と外夷の違い/怪物の如き外夷人物/怪物たちは遠方へ/怪物ではない〈日本〉の私 Ⅱ 「和の国」イメージの普及 「倭国」から「和国」へ【コラム】●小口雅史 やわらかな好色の国・日本、という自己像●小林ふみ子 「和」の字の実体化―中世まで/やわらかい言葉/やわらかな気風、やわらかな女/やわらかな=好色の国として/近代以後の消長 世阿弥能にみる日本意識――「平和」と「幽玄」――【コラム】●竹内晶子 日本の春画・艶本にみる「和合」●石上阿希 はじめに/日本春画・艶本の思想/中国養生書の影響/和合をことほぐ/おわりに Ⅲ 「武の国」――願望のゆくえ 近松の浄瑠璃に描かれた「武の国」日本●韓京子 『国性爺合戦』に表現された「日本」/武威による他国の支配/剣による世の平定/剣の威徳による治世 曲亭馬琴の「武国」意識と日本魂●大屋多詠子 はじめに/馬琴の日本意識と「武の国」/馬琴の描く武士と「武威」/馬琴作品における「日本魂」/おわりに 武者の国日本の視覚化【コラム】●小林ふみ子 壬辰戦争はどのように描かれたのか●金時徳 ──江戸中後期の絵本・浮世絵を中心に はじめに/時代区分/相互関連/まとめと展望 Ⅳ 「神の国」――近代をつくった自国認識の登場 浄瑠璃にみる神道思想●林久美子 金平浄瑠璃と社参/神おろしの節事/日本紀の世界/『日本大王』と『日本王代記』/『仁武天王』と『大日本神道秘蜜の巻』/中臣祓/三社託宣、お祓など/神道の文化への影響 平賀源内の自国意識●福田安典 源内の語る「日本」「異国」/源内の語る「神の国」─谷川士清の影響─/倭学先生の講釈 上田秋成と樋口道与──大坂文人の文化相対主義──【コラム】●長島弘明 仙台藩の能『神皇』──塩竃の神が「異人」を追い払う●津田真弓 『神皇』のあらまし/『神皇』誕生の背景/藩校の展開─十九世紀の入り口で 開国期における「異国と自国」の形象──神風・神国・神風楼●川添裕 象徴的な日米のレプリゼンテーション/「神風」が異国船を吹き戻す/「神国」では異国のトラも日本語を覚える/「神風」の遊廓─まとめに代えて